環境制御実践に当たって

スマートアグリの導入や運営には専門的で高度なICT・デジタル技術は必要ありませんが、それでもある程度のICT・デジタル技術への理解は必要になります。またそれ以上に必要になると思われるのが「何のためにスマートアグリシステムを導入するのか」という認識です。スマートアグリ(環境制御システム)が行うのは「システムインターフェースを経由して設定・操作可能な、ノンストップの自動作業」です。その結果もたらされるものは様々な事があると思いますが、大きく分けると以下のような事があると思われます。

スマートアグリシステム導入のメリット

項目 詳細
コスト低減
  • 自動化や遠隔操作による労働コストの低減
  • 金銭コスト(燃料代など)の効率的な使用
環境最適化
  • 精度の高いハウス環境の管理(最適化)による収量・収穫品質の向上

スマートアグリシステム導入のデメリット

項目 詳細
コスト増加
  • システム導入時にかかるコスト(イニシャルコスト)の発生
  • システム運用時にかかるコスト(メンテナンスなどのための金銭、労働コスト)の発生
  • システム導入・運用に必要なICTを中心とした様々な知識の学習コストの発生
システムダウンの可能性
  • 万が一システムがダウンした時に何らかの障害が発生する可能性

スマートアグリの実践に当たっては、こういった事のうち重視してシステムを導入するのか/しないのかを見据えておく必要があります。またそこで見据えるものが決まってくれば、どういったシステムを導入すれば良いかという形も見えてくると思います。全てのICTシステムと同じように、スマートアグリシステムも全ての事が出来るわけではありません。ですので導入時には「自分が農場運営・農場経営をこのようにしていきたいから、スマートアグリシステムを導入する」という検討が不可欠です。新しい技術分野を取り入れたシステムだから、
IoTだからという事だけでは、スマートアグリシステム導入の理由には足らないと思われます。そうではなく、スマートアグリシステムのメリットとデメリットを理解して、それがトータルで農場運営・農場経営にプラスになると考えられた時に導入する事が望ましいと思われます。導入しようと思うシステムの形が見えてきたら、実際の導入・運用のあり方を検討していきます。

システム導入の理由について

「新しい技術分野を取り入れたシステムだから、IoTだからという事だけでは、スマートアグリシステム導入の理由には足らないと思われます」と書きましたが、しかし新技術分野のシステムがある現場で働けているという事が、仕事においてモチベーションになるケースも数多くあると思われます。言えばこれらは金銭面ではなく、心理面を踏まえた導入理由だと言えます。

システム導入の理由は数多くありますが、基本的には金銭面が基準になると思います。ただそれ以外でも「自分がどういったスタイルで何を見据えて働いていくのか」という事が1つの視点になると思われます。金銭面に加え、そこで見据えるもののうち重要と思われるものを基軸にシステム導入をする/しないの判断、あるいは導入する場合はどういったシステムにするのかの判断を総合的に行えば、自分の価値観に即したシステムを導入できる可能性が高まります。